日々、スポーツ団体のご相談を受けていて思うことが弁護士業務と保険というサービスは親和性、似ているところがあるなと感じます。
最近ではスポーツ団体において指導者や選手、子供らが保険に入っておくことは必須のものとなってきています。スポーツ安全保険などの死傷をした場合に死傷者側に出る保険はもちろん、特に指導者は損害を与えた場合の損害賠償責任保険にも加入しておくことが必要です。
このような保険は、ケガや死亡という大きな事故が起こった場合に最低限、金銭的にリカバリーするものです。そして、そのような事故に備えるという意味で日々の保険料をみんなで薄く広く負担するというシステムと言えます。
そして、弁護士業もスポーツ界において、そのような役割を担うことができるものと考えています。今はまだ、多くのスポーツ団体や競技団体、学校部活動において弁護士という存在は遠いものと感じると思います。ただ、指導者のパワハラ、セクハラ、暴力、保護者の中のモンスターペアレントの対応、子供間のいじめ、協会の不正会計等、毎週のようにスポーツ界では不祥事がニュース番組を賑わせています。そのような情勢の中で曖昧な組織体制や規則、曖昧な財務態勢などスポーツはボランティア活動の一環で行うことが多いことから、なあなあ、になっている団体が多いのが実情です。そして、裁判所はボランティアであるから責任が軽くなるという判断はしてくれません。裁判ではそのような判断はなされません。
そうすると保険に入り対策することと同時に、専門家による団体のガバナンス体制の見直し、コンプライアンス研修、安全マニュアルの作成、事件事故の場合の危機管理対応等、事前に対策し予防的な体制を作っておく必要性は非常に高まっています。事件事故が起こっても迅速に対処し被害を最小限に紛争も最小限に抑え、裁判になったとしても弁護士が対応できる。そのような形が最終的には指導者を守り、選手、子供を守ることになると言えます。
ですから不祥事が多発しているスポーツ界にこそ予防法務、事件事故が起こった時の迅速な危機対応含め顧問弁護士を雇い月に数万円というコストを広く薄く負担することは今後のトレンドになっていくのではないかと思っています。私自身も積極的に取り組んでいきたいと思っています。
スポーツ界においても広く保険のように弁護士が携わり適切な運営、事件事故の紛争が解決していく未来を作っていきたいと思います。