現在、報道では、日本大学アメリカンフットボール部の寮内で1名の部員が大麻所持、覚せい剤所持を行ったとして捜索を受け、さらに、数人の大麻使用、所持が疑われ数名の部員が任意で取り調べを受けているとされています。 

 この間、日大は、無期限の活動停止を5日で解除したかと思えば、また、無期限停止としたり、会見を開けばマスコミから批判を受け、12日間もの間、大学が大麻を保管していた等、弁護士から見るとマスコミ対応、部員からの聞き取り、聞き取り後の対応等、全て後手後手に回りあまり上手く危機管理を行えているようには見えません。 

 このような一連の不祥事、事件対応の不味さは学校としてのブランド力低下はもとより、経営陣への不信、不満、学生の不安を増長し、金銭的にも志願者が減り、また補助金のカット等、莫大な損失を学校法人に与えているものと考えられます。 

 これまで、弁護士としてスポーツの事件を受け持ち、スポーツのコンプライアンスセミナー、大学・高校での授業、弁護士会での研修講師、大阪府での有識者会議の副座長などを経験し、多くの場所でスポーツ団体、学校、部活動の不祥事に対する対策の相談を受け様々な活動を実施してきました。 

 ただ、世間では、毎週のように高校、大学などでのスポーツクラブ、部活動でのパワハラ、暴力、薬物事件、性的犯罪等様々な事件が報道され、ワイドショーでもかなりの確率でスポーツ関係の不祥事を取り上げています。そのような危機的状況の中でも、あまりスポーツ指導者、学校、スポーツ団体はどこか他人事のような空気感があるところです。 

 一度、日大のように事件が発生し、事態の収拾に失敗すれば大きな損失、若しくは致命的なダメージになることも容易に想像がつくところですが危機感が薄いと感じます。 

 そのような状態を打破し少しでも日本のスポーツ界での人権侵害をなくし、さらには、スポーツ指導者を守る、そんなスポーツ界にするべくこれまでの弁護士としてのスポーツの事件に携わった経験、大学で教えているノウハウ、スポーツ団体へのセミナー内容等の知識、ノウハウを駆使し、さらにリスクマネジメントの知見も取り入れ、「スポーツ危機管理アドバイザリー業務」を開始することといたしました。 

 業務内容としては、①部活動、学校、スポーツ団体での危機管理セミナー、研修 ②学校法人、団体等での顧問アドバイザリー業務 ③理事などのリスクマネジメント担当役員としての組織内でのリスクマネジメント体制の構築と運用の3つのサービスを開始します。 

 現在、大阪府中学部活動地域移行の有識者会議の副座長を務めています。今後、地域クラブの活性化が求められるところです。しかし、地域クラブも適正、適法に運営されなければ、不祥事、事故が全国で多発することは容易に想像できるところです。 

まだまだ、日本のスポーツ界はガバナンス、コンプライアンスが浸透していません。スポーツ界において事故や事件、人権侵害を防ぎ、不要に指導者の責任問題に発展することがないよう指導者をも守ることのできる業務を行っていきたいと考えています。今後ともよろしくお願いいたします。